「インナーマッスルが重要」は誤解
運動前のストレッチからトレーニング、また体幹やインナーマッスルの概念などガチガチに頭が固まっていませんか?
まずはストレッチ。
ケガの予防のために準備運動として取り入れることが推奨されていましたが、2005~6年頃から入念に行うと筋力が低下するという研究が出始めました。
実際に当院に来院される方や、私が指導に入る場所では入念にストレッチをしている人ほど「肉離れ」や「腱断裂」などのケガの発生率は確実に高いです。
こんな風に180度開脚なんて目指したりしていませんか?
無理なストレッチは、靭帯を伸ばして関節をユルユルにしてしまいます。
バレエや体操競技などは、生理的な関節可動域以上に動かす競技ですが、一般的な競技で考えてここまで関節の可動域を使う機会はありますか?
ストレッチで筋力が低下するという研究は、ジワ~っとユックリ長時間伸ばす静的なストレッチです。
動的な柔軟体操の様なストレッチで故障が起こる心配は、ほぼありません。
筋肉は動かせば柔らかくなる
柔軟性を高めてあげると肉離れや腱断裂などの筋肉のケガのリスクは下がります。
柔軟体操などの軽く反動をつけての準備運動は有効で、軽いジョギングなどで体を温めたり、ラジオ体操程度のストレッチをやると良いでしょう。
「腹筋は遅筋だからたくさんやらないといけない」は嘘
夏が近付くと筋肉トレーニングをして、シックスパックスの割れた腹筋を目指して、腹筋運動を毎日やっている人もよく居ます。
「腹筋は遅筋(持続力に優れた筋肉)の多い筋肉だから、たくさん回数を反復しないと鍛えられない」と昔からいわれます。
実際には腹直筋の「速筋(瞬発力に優れた筋肉):遅筋」の比率解剖データは、ほぼ五分五分で、他の筋肉とそれほど変わりません。
自重負荷の正しい軌道で丁寧にできる数で鍛えた方が、はるかに効率良く腹筋を発達させられます。
※腹筋運動を行えば、綺麗に腹の脂肪が取れる訳でも無く、お腹を絞りたければ、全身的に痩せる必要があります
インナーマッスルを鍛える?
ここ十数年ほどで、すっかり浸透したインナーマッスル(深部筋)ですが、インナーマッスルの多くは主に関節動作を安定させる働きを担っています。
対するのが主に関節動作を起こすアウターマッスル(表層筋)ですが、普通に考えれば「運動では関節動作で体を動かすアウターが主役、そのアウターの働きを支えるインナーもまた重要だ」となるのですが、何故か「アウターを鍛えるよりインナーこそ鍛えるべき筋肉だ」と言う話がまかり通ってしまっている。
また「インナーマッスルは低負荷で鍛える、高負荷をかけるとアウターマッスルばかりが鍛えられる」と言われていますが、これもガセネタです。
何よりインナーマッスルの大半が随意的に動かすのが苦手な筋肉なので、鍛える概念もスポーツでの大活躍する場面でも崇拝するまでの疑問はあります。
体幹トレーニング”も誤解が多い
体幹トレーニングの多くは上肢・下肢の土台である体幹を固定させる「感覚と動作のトレーニング」です。
この目的ではもちろん意義がありますが「筋肉トレ」で考えると効果は高くなく、体幹の腹筋群、背筋群のパンプアップ効果は、普通に腹筋運動や背筋運動を行う方がずっと高くなります。
極端な言い方ですが、体幹の筋肉を指の様に自由に動かせる様になるのが本当の体幹トレーニングです。